うめこの日記 

起立性調節障害(OD)と診断された三男との日々の記録

起立性調節障害(OD)とは

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お子さんに次のような症状はありませんか。

 

 

・たちくらみやめまい
・立っていると気分が悪くなる 
・入浴時や嫌なことを見聞きすると気分が悪くなる
・動悸や息切れ
・朝起きられない  
・顔色が悪い
・食欲不振
・腹痛
・全身倦怠感 
・頭痛
・乗り物に酔いやすい
・失神発作
・吐き気や気持ち悪さ
・夜になかなか寝付けない 
・イライラ感や集中力の低下

 
 
もしお子さんに以上の様な症状があり『朝起きれなくて学校に行けない』という状態になっているのであれば、お子さんはもしかしたら起立性調節障害( OD : Orthostatic Dysregulation )という病気かもしれません。
 
まずは起きられないのはどのような症状があってなのか、体調面のことや普段の生活の中での心理的な背景などを詳しく知る必要があります。そのためにお子さんと対話ができるような良好な親子関係を作っておくことがとても重要となります。
 
ODは朝は起きれなくても夜になると元気になってくるため怠けているように見えることがありますが、怠けていると頭ごなしに決めつけつけず、学校に行きたいけれど行けない子どもの気持ちを理解してあげてほしいと思います。
 
また「いじめ」や「友達とうまくいってない」「勉強についていけない」など自分の居場所に不安を感じる「学校に行きたくない理由」がある場合、心理的な要素はODの症状にとても大きく関わっているため担任の先生やお友達に理解してもらえるよう働きかけが必要となる場合もあります。
 
ODを正しく理解し、改善に向けてどのように対処していくべきなのか考えてみたいと思います。
 

 

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 朝起きれないのは

  
子どもが朝起きれなくなったからと言って、いきなり病気だと考ええる親は少ないと思います。夜更かしをするから朝起きれないのだ、ときつく言い聞かせて、それで通常の生活に戻ることができればよいのですが、戻れないどころか、さらに悪化して昼夜逆転のような生活になってしまったら起立性調節障害(OD)の可能性があります。
 
  
実は夜更かしをやめてもODが治るわけではありません。通常は朝に働くはずの交感神経が働かず血圧が上がらないため起きられず、日中はだんだんと交感神経が活発になり夜になると活動モードに入ります。そのため夜寝つきが悪くなり翌朝また起きられなくなるという悪循環を起こしているのです。朝起きれないのは夜更かしそのものが問題なのではなく、自律神経の乱れにより朝起きれなくなることが、本当の問題なのです。
 
 
仮に夜早く寝れる日があったとしても、次の日の朝早く起きれるとは限りません。ODのせいで体の疲れが取れないため、早い時間にベッドに入ったとしても翌日の午後まで眠り続けることもあります。
 
 
夜になると元気になるので怠けている、甘えているなどと考えてしまいがちですがODの子の多くは本当は朝早く起きて学校に行きたいと思っています。ODにはこのような特性があることを理解した上で、叱らずに無理をさせないようにしてあげてください。
 
 
起立性調節障害は、子どもが大人になる途中の成長期に自律神経の調節がうまくいかなくなることがあり、体や心に強いストレスを受ける事によって敏感な性格の子が発症しやすい診断基準のある思春期特有の病気です。子どものつらい気持ちを受け止めてあげて早めに対策をとりましょう。
 
 
 

起立性調節障害(OD)とはどんな病気

 
 
起立性調節障害『Orthostatic(起立時) Dysregulation(調整できない状態)』(略してOD)とは、意思とは関係なく寝ている間も働いている、生体機能をコントロールしている「自律神経」が、成長期の急激な身体の発育によりその自律神経の調節がうまくいかず身体や脳への血流バランスが悪くなりそれが原因で様々な症状が出る病気です。
 
立ち上がった時に重力のため血流は足の方に落ちようとします。健康な人は自律神経が働いて血流を脳に向かって上げようとコントロールすることができますがODではこの調整がうまくいかないため、下半身に血液が集中し脳に行く血液が少なくなります。急に立った時に現れる瞬間的な立ちくらみは多くの方が経験されていると思いますが、ODでは常に立ちくらみのような状態が続いているのです。
 

ODのチェックリスト 

・たちくらみやめまいを起こしやすい
・立っていると気分が悪くなる、ひどくなると倒れる 
・入浴時や嫌なことを見聞きすると気分が悪くなる
・少し動くと動悸や息切れがする
・朝なかなか起きられず午前中調子が悪い
・顔色が青白い
・食欲不振
・腹痛
・倦怠感、疲れやすい 
・頭痛
・乗り物に酔いやすい

※3つ以上当てはまる場合はODの疑いがあります

 

 
 
 

その他の症状として

・下痢
 ・吐き気や気持ち悪さ
 ・夜になかなか寝付けない 
 ・イライラ感や集中力の低下

 

 など季節や天候、体調によって症状も変化します。
   
自律神経には活発な行動をする為に働く「交感神経」と夜に優位になるリラックスをする為に働く「副交感神経」があります。交感神経と副交感神経はどちらか働いている時はどちらかが休んでいます。意思とは関係なく交互に働くことでわたしたちの生命が維持されているのですが日中は交感神経が強まって身体活動が活発になり、夜には副交感神経が働いて心身をリラックスさせます。ところがODでは、午前中に交感神経が活性化しないまま時間がずれこんでいくため午前はずっと身体を休めたままになり、逆に夜は身体が活発になるので寝つきが悪くなります。
 
夜更かしをして生活リズムが乱れているように見えますが、自律神経系のリズムが乱れてしまうためにそのような生活パターンになってしまうので本人の意思でどうにかできるものではないのです。
 
 
またODでは起立直後すぐに活発化するはずの交感神経が働かず血圧が低下したままの状態となる一方で心臓は血圧を維持するために心拍数を増加させ、頻脈を起こします。
立ちくらみやめまい、動悸、息切れなどの症状はこのように自律神経がうまく働かないことにより起こります。
 
 
ODは明らかな身体症状が認められる診断基準のある病気です。本人の意思ではどうしようもない場合があり正しく診断を受けて適切な治療が必要となります。
 
 

何科を受診すればよいのか

 
それではODを疑った場合に何科を受診すればいいのでしょうか。
ODは思春期に多い病気なので15歳までのお子さんであれば小児科を受診しましょう。
高校生になってから発症するケースもありますが、その場合は事前に小児科に受診可能か病院に相談したり小児科内科を受診して専門医のいる病院を紹介してもらうのもいいと思います。
 
 
実は専門の先生以外はあまり起立性調節障害の知識がなく、心療内科や精神科では正確な診断が出来ないという場合もあります。また、ODはうつ病と似たような症状が多いためうつ病と診断され抗うつ剤を処方されるケースもあります。一部の抗うつ剤起立性調節障害の症状がひどくなることもあるので、まずは小児科の先生に相談をしてみてください。
 
 
なお、発症すると回復まで長い期間を要する場合もありますので通いやすい環境にある病院を探すことも大切です。
 
 
 

病院で行われる新起立試験とは

 
ODの診断は小児科かOD専門病院で受けます。ODチェックリストの項目に3つ以上当てはまり血液検査、尿検査、レントゲン検査、CT検査、心電図検査など行い他の病気がないか調べます。これらの検査で異常がなければ「新起立検査」行います。新起立試験ではサブタイプと重症度がわかります。
 
 

新起立試験の方法

 
①仰向けに寝ます
ベッドに仰向けに寝て、血圧計や聴診器をセットして10分間安静を保ちます。
10分後に収縮期/拡張期血圧を測定し脈拍を測ります。
 
 
②起き上がって血圧を測ります
起立後の10分間の血圧や脈拍、血圧回復に掛かる時間を測ります。
 
 
※途中で気分が悪くなった場合は決して無理をせず先生と相談しながら進めましょう。
 
 

サブタイプ

 
①起立直後性低血圧
起立直後、血圧が低下してから回復するまでに時間がかかるタイプ
 
②体位性頻脈症候群
血圧に異常はないが、起立後心拍が回復せず上昇したままのタイプ
 
③信性調節性失神
起立中の急激な血圧低下によりいきなり失神するタイプ
 
④遷延性起立性低血圧
起立を続けることにより徐々に血圧が低下して失神するタイプ
 
※今後サブタイプを細分化したり新たなタイプが見つかっていくこともあります。
 
 
 
ODでは午後には体調が回復し、数値が正常化することがあるため新起立試験は午前中に実施する必要があります。朝起きるのが難しいお子さんを、朝に病院に連れていかなくてはならないため親子で協力して受診しましょう。また条件や日時によって測定結果が変わるため診断が出るまでには再検査する場合もあります。
 
 
立ちあがったときに極端に血圧が下がったり、脈拍が上がったり、あるいは失神してしまったりということがあれば起立性調節障害と診断されます。サブタイプを確定し心身症としてのOD」チェックリスト(日本小児心身医学会ガイドラインによる)を行い、心理社会的関与を精査したうえで治療を行うことになります。
 
 
 
 

どんな治療方法があるのか

 治療方法には以下のような方法があげられます。
 

運動療法
②食事療法
③非薬物療法
④環境調整(学校や友達など)
薬物療法
心理療法

 
 
 では順番に見ていきましょう。
 

運動療法 

散歩程度の軽い運動を毎日30分くらい続けます。横になりっぱなし座りっぱなしにならないようにしましょう。起立時はいきなり立ち上がらず、頭をゆっくりあげて起立するようにします。起立中は足踏みをしたり両足をクロスしたりすると失神防止に繋がります。
 

②食事療法 

ODの子どもは塩辛いものをあまり取りたがりません。血圧を上げるためにも塩分を少し多めにとるよう意識しましょう。そして水分をできるだけ多く取りましょう。1日1.5ℓ~2ℓが必要です。
 

③非薬物療法 

上記の運動療法、食事療法に加えて、早寝早起きなど生活リズムを整えることが大切ですがこれはなかなか難しいため無理を強いるようなことはしないようにします。夜間にゲームやスマホなどから出るブルーライトを浴びすぎると眼が冴えてしまい寝つきが悪くなることが分かっています。電子機器の使用は寝る2時間前にはやめるようにしましょう。そして気温の暑い場所は避けましょう。高温の場所では血圧低下を起こしますので体育の授業を見学させるときは必ず室内で座って待機するよう学校にも周知してもらうといいでしょう。
 

④環境調整  

 

ODは病気であること、本人の意思ではどうすることもできず苦しんでいること、決して怠けているわけではないということを周りの人たちに理解してもらう必要があります。場合によっては学校に診断書を提出して病気であることを説明するのもいいかもしれません。いつでも普段の生活に戻れるよう学校とはこまめに連絡を取り環境を整えておくのが重要です。

 

薬物療法  

以上を試してみても改善されない場合は薬物療法を行います。起立性調節障害の治療薬は血圧を上げる昇圧剤が処方される事が多いようですが、治療薬といっても劇的に効果のある薬はないため薬物療法を併用しながら焦らずに治療を進めていきましょう。
   

心理療法  

起立性調節障害になるきっかけに心理的な要因ある時は、例え薬を飲んでも早期に症状が軽減することは少ないようです。子どもの心理的ストレスを軽減することが最も重要となります。ODのことを十分に理解し、病院―家庭ー学校での連携を深め、全体で子どもを見守る体制を整えましょう。
 
 
 

おわりに

 
 ODは小学生高学年から少しづつ増えてきて中学生でさらに急増します。小学生は約5% 中学生は約10%ODを発症していると言われていてそれは年々増える傾向にあるそうです。ODの症状は大人になると治ることが多く、中には成人しても軽い症状が続く場合もありますが多くの方が普通に日常生活を送れるようになるそうです。
 
子どもの将来の事などを考えて不安になるのは親として当然のことですが『いつか必ず回復することを信じて笑顔で待つこと』とても大切です。親の辛い顔を見ていると子どもも同じく辛くなり症状が悪化することがあるからです。
 
病気の理解を深めるためにも、同じ悩みを共有する人たちの所に行き、話を聞きそして自分の悩みを言えるような場所が、特に母親には重要です。支援団体がいくつかありますので是非そちらとも連絡を取ってみることをお勧めします。
 

起立性調節障害 親の会

 

NPO法人 起立不耐性と起立性調節障害の会

www.odpaj.com

 

NPO起立性調節障害ピアネットAlice

 

起立性調節障害(OD)家族の会~snow~

www4.hp-ez.com

 

起立性調節障害なごや家族の会「ポレポレ」

polepole-nagoya.amebaownd.com

 

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